新型コロナ発言で、なぜ知事は反感を買ったのか?

名古屋・岐阜のコピーライターの小澤です。

今どき、ネットを始めとした発信には、十分な注意が必要です。それこそ発信を一歩間違えると、嫌われるどころかバッシングにあう危険性を秘めています。

近々のことで言えば、新型コロナウイルスにおける全国の自治体からの発信があげられます。特にゴールデンウイーク前に発信された、新型コロナウイルスの感染拡大を恐れてのメッセージが良い例でしょう。

たとえば、岡山県知事の発信。県外からの訪問者に対して、「来たことを後悔させる」と感じさせるコメントを述べたといいます。

これにより2日間で苦情が50件。さらに、今後の観光に影響しかねないと観光関係者からの不安が寄せられたのだそうです。

その一方で、絶賛されたのが島根県の「帰省自粛」呼びかけ。新聞にて告知されたメッセージは、以下の通りです。

早く会いたいけん、今は帰らんでいいけんね

意味は、「早く会いたいけどね。(新型コロナウイルスだから)今は帰らなくていいよ」。島根県の方言を使い、「帰ってこないで」という否定的なニュアンスを和らげています。この発信の結果、「いいね」が1200件に上ったと言います。

この他ではユニークなのが、岐阜・高山の発信。それが、これ。

現在、飛騨はお休み中です。

岐阜県高山の國島芳明市長、飛騨の都竹市長、白川の成原村長のお三方によって発表されました。社会の不安が高まる中、一方的に排除するような表現を避けたい。そこで感謝の気持ちを込めて、できるだけ柔らかい言葉で表現したのだそうです。

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なぜ明暗を分けたのか?

これらの発信から読み取れることは、人を動かそう思うなら、「どう感情に訴えるか」と言う点です。

岡山県知事の場合は、「来たら怖い(後悔する)ことになる」という恐怖訴求です。恐怖訴求は効果がある一方で、扱い方を間違えると反感を買います。まさに劇薬的な表現です。

島根県の場合は、共感です。「そうだよね」と読み手が共感することで、読んだ人たちが協力的になります。

岐阜県高山市の場合は、人間らしさ(温かさ)です。「一切禁止」みたいな業務的な書き方であれば、抵抗感があります。しかし、「お休みしてます」という柔らかな表現にすることで、「今は仕方ないもんな」と読み手に思わせることができます。

いずれにしても忘れてならないのは、読み手は「人」であること。だからこそ、どのように感情に訴えるかが明暗を分けることになります。

私たちも無関係ではない。

今回ご紹介した発信は、私たちも決して無関係ではありません。だって、ブログやホームページ、チラシやパンフ…、あらゆる媒体を使って発信をしているのですから。

発信を一歩間違えれば、見向きもされないばかりか、反感を買うことも考えられます。そこでターゲットである読み手に向けて、「どう感情に訴えるか」を念頭に置きながら発信していきたいものです。

では、どんな感情にアプローチしたらいいか、いくつか例をピックアップしてみましょう。

  • 悩みを解消したい
  • 願望・興味を実現したい
  • 損をするのはイヤ。得したい。
  • 「あなただけ」と言われると弱い
  • みんなと同じでいたい

これらは、誰もが持つ感情です。これを知っている前提で書く、書かないでは大きな差になります。

そもそも発信するときは、自分の都合が書いてしまいがちです。発信者の都合ばかりでは、読み手は「お前の都合なんて、知ったことか」となってしまいます。

だからこそ、上記のような「相手の感情」からアプローチする。そのうえで発信者側が「してほしいこと」へとつなげれば、相手を動かすことができる訳です。

さて、あなたの発信は、自分都合になっていませんか? ちゃんと相手の感情に上手くアプローチできていますか? これを機に、見直してみるのもいいかもむしれませんね。

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